淑女の社交術。
数少ないボーイフレンドの一人が、忙しくなりそうだ。当分遊びに出かけることはないであろうと思われる。
車を持たない主義の私には、困った事態である。
今日も、市役所に行かなけれはいけない。と口にしたら、そこにいた○○君が、
「僕乗せてくよ!今日はこれから暇やし、こんな天気のいい日に、車で走ると気持ちいいし、安全運転やに!
僕、まじめやに!」
「もう男はこりごり!歩いていくからいいわ」
「なんでーさ!のせてったるよ」
「いいよ!歩いていく!」
さて、部屋で出かける準備をしていたら、急に歩いていくのがしんどい気持ちになってきた。
まあ仕方ないか。
玄関に降りていくと、○○君と、バッタリ!
「のせっててくれる?」
「うんいいよ!」
快適ドライブ!ゴーゴー!話も弾みなんだか楽しい!
帰りも送ってくれるという。
市役所の喫茶室に案内して、
「コーヒーおごるからここで待っててね」
さて、市役所では30分ほど時間がかかった。
「ごめん、ごめん!待たせて!もう一杯コーヒー飲まない?私も一服したいし!」
「いいの?僕は全然大丈夫だよ!じゃあごちそうになってもいいかな?」
市役所の喫茶室のコーヒーは290円である!何杯でもどうぞ!という気持ちになる。
「いいよ」
といい、レジにて先にコーヒー3杯分支払う。
帰りがけに、支払いのことで、まごまごするのはカッコ悪いから、淑女は払うと言ったら払うのである。
タクシーで来て、30分待たせて、帰りも送ってもらったら、どれだけかかるかわからないのである。800いくらをケチって、借りを作るわけにはいかないのである。
淑女は、めったやたらと、男に借りを作らないのである。
○○君は、年下で、背が高く、スマートである。
連れ歩いても、なんだか気分がいい。
「気持ちのいいドライブだね!」
「ドライブ~~!ありがとう!これが鳥羽や伊勢志摩だったら最高なんだけどな~~~!!!」
淑女はこんな時、都合のいい返事はしないのである。
「遠いところは、しんどいよ~~。これくらいがちょうどいいよ~~」
淑女は、そうそう誘いには乗らないのである。
「○○君、遅くならせたね!ごめんね」
「全然平気、この時間は、いつも暇してるから。こちらこそ、コーヒーごちそうになって悪かったね~~」
「いえいえありがとう」
世の中よくできているものである。一人欠員ができたと思ったら、一人補充されたわけだ。
淑女はこうやって、清らかな交際術で、楽しく暮らすすべを身に着けていくのであった。
ありがとうメールしとかないとな~~~。
○○君感謝!