父から学んだことで、あれはやめてくださいと嘆願されたこと。
私の実家は、薬局でした。
色んな薬問屋さんから、毎日何個も、荷物が届きます。
その中で、店員さんは、必ず、ある問屋さんの荷物を、朝一番に開封してお店に並べるのです。
父が
「ゆりりんこ、なんでかわかるか?あの問屋さんに荷物の中には、サービスのキャラメルが1個はいとるやろ。店員さんは、その気持ちがうれしくて、朝一番に、あの問屋さんの荷物を開けて、陳列するやろ。そうすると、あの問屋さんの商品は、品切れがなくて、結局、あのお問屋さんはもうかるやろ。覚えておくんやで。商売っていうのは、そういうもんなんやで」
幼い私は、その話を鮮明に覚えてしまいました。
大学卒業前に、母が病気になり、私は母のやっていたお店の店長になりました。
21歳の若さで、経営者になってしまったわけです。
ハンドバックのブティックでした。
ウンガロ、ジパンシー、ソニアリキュエルなどを扱っていました。
ウソほど売れました。
月に、1回問屋さんの営業さんが、やってきます。
デパートにも卸している
問屋さんなので、基本返品商品は受け取ってくれません。
どうしても売れないと思ったら、営業さんに相談の上、これとこれは受け入れますと言ってくれた商品だけ、送ることになってました。
私は、父の教えてくれたことを思い出しました。
そのうちに、勝手に大量に返品商品を問屋さんに送り付けるようになりました。
もちろん、かわいいお菓子と、返品係さんへのねぎらいのメモを入れて。
文句を言われたことは一度もなかったし、荷物が送り返されることもありませんでした。
私の作戦が、成功していたのです。要は、ねぎらう気持ちです。
何年か経過して、問屋さんの営業さんが、笑いながら言いました。
「お願いですから、大量に返品するのは勘弁してくださいよ~~~。返品係の女の子たちがよろこんしゃって、ゆりりんこさんのお店からの返品を待ってるんですよね~~。僕に連絡しないで受け取ってるんですよね~~。あはは。もうやめてくださいね~~~」
あはは。そうなの~~?しらばっくれる私。
その後も、返品しました。
営業さんもあきらめたのか、何も言いませんでしたが、さぞかし営業さんは困っていたことでしょうね(笑)
小学生か、幼稚園の時に、父に教えてもらった商売のコツ。
ダイの大人の営業さんを困らせてしまっていたのに、笑って、返品を送り付けていた私。
あの盛業さんには、本当にお世話になりました。
私が結婚するときに、お礼の品にする、とても素敵で便利で、センスがいいお財布を、特別にデザインしてくださって、なんとウンガロのロゴ入れときましたから。って、。今だから言える大サービスをしてくださいました。
世界に数百個しかない、ウンガロのお財布。
ご迷惑ばかりおかけしていたのに、本当にいい方でよかったです。
その営業さんは。
父のことを、社長と呼び。母のことを奥さんと呼び。私のことを店長と呼んでくださってました。
大人の世界は大変なんだな~~。ということを教えてくれた、営業さんでもありました。
その営業さんを背負い投げにする、父から教わった、商売のコツの、お話でした~~。