ゆりりんこの病活日記

心の病気と乳がんと乾癬 振り返りつつ心地よく生きる

二度目の乳がんの手術とボーイフレンド。

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私はもともとは、けっこうな巨乳でした(笑)

それが、最初の乳がんの手術で、片方巨乳、片方高校生の胸になりました。

温存手術でしたから。

 

今はいいものがあります。

ワコールのリマンマです。

乳がんの人専用のブラジャーです。どんなにちぐはぐになってしまった胸でも、外見はもともとの胸と同じにしてくれるすぐれものです。

 

外国製のアラモネアパットというものを装着するのです。

このパットも、いろいろな種類があって、私の場合は、重さも柔らかさも、手触りも、実際のおっぱいと同じ物でした。

 

私は、手術の後も、服の上からは、巨乳で過ごすことができていました。

 

大都市には、ワコールのリマンマルームという施設があり、プロのスタッフが、元来の胸に限りなく近い状態になるまで、いろいろなパットやブラジャーを次々と装着させてくださり、その技術と言ったら目をみはるばかりです。

 

そして、その心配りも素晴らしいのです。乳がんの手術を受けた心の傷を、優しく受け止めてくださり、心からの言葉で、力になってくださるのです。

相当な教育を受けてみえると想像できます。

 

笑うのですが、私には、「熟女用のパットをご用意しましょう」とおっしゃいましたよ。ちょっとたれてますからこれですね。なんてことは、絶対に言わないのです。

 

初めて、名古屋のリマンマルームに連れて行ってくれた義姉に感謝です。

 

外見巨乳に戻った私は、離婚後時間をかけてダイエットをし、ボンキュッボンになりました。

 

そんな私に、ボーイフレンドができました。

気分転換にと出かけた、美術館のレセプションで、偶然知り合ったのです。

 

私は、明治時代の貞操観念を持つ女と言われています。

そのボーイフレンドとも、キスもすることもなく、何年間も中学生のようなお付き合いをしていました。ボーイフレンドというよりも男友達と言ったほうがいいのかもしれません。

 

乳がんのことは、2回目のデートの時に、カミングアウトしてました。

とても驚いていました。リマンマのおかげさまというべきでしょうか?

 

その後も、中学生のようなお付き合いをしていたのですが、ボーイフレンドは、一緒に旅行に行きたがったりしてはいました。

 

とても仲良くなりましたので、私の部屋で手作り料理をごちそうしたりしてくつろいでいると「おっぱいさわらせろ~~~」などと笑いながら言ったりしていました(笑)

 

私は、心は中学生の女子ですので、やんわりと断ってはいましたが、なんだかかわいそうになってきました。外見巨乳のおばさんですし、相手は男性ですから。

 

それであるとき、

「じゃあ、もしもだよ、もしも私の乳がんが再発したら。そして手術が決まったら。おっぱい触らせてあげるね。旅行にもいこうね。それから手術するね」

 

我ながら、どういう精神構造をしているのでしょうか!?

 

そんな私が再発してしまいました。

 

「やはり悪性です」という乳腺外科の女医さんの言葉を聞いたとき、私の頭に何が浮かんだと思いますか?

 

「ボーイフレンドの顔」です。

「あの約束。マズイことになった」

 

今となっては、大笑いです。

 

私は、メールで、ボーイフレンドに、再発のことを報告しました。

あの約束のことは、どうか忘れていてくれ。との思いでした。

予想に反して、とても心配してくれて、旅行のことなど一切言い出さず、力づけてくれました。

 

そして、細胞を取り出して、どこまでがんがひろがっているか調べる検査の際には、病院まで迎えに来てくれると言いました。すっかり安心して頼りにしてしまった私は、素直に迎えに来てもらい、お礼に、部屋でお茶をごちそうしました。

 

その検査は、とてもハードなもので、胸の中に管を走らせ、いろんな場所で細胞を取るというものでした。歯を抜いたときのような痛みが、胸全体に広がっていました。

 

二人でくつろいでいたら、ボーイフレンドが

「おっぱいさわらせてよ」と突然言い出しました。驚きました。「もったいない」とのことでした。

 

私は怒りました。

「痛いって言ってんじゃん!」

 

「でもさわりたいよ~~!お願いだから触らせてよ~~~」

 

「だーかーらー!すごくいたいんだって!それどころのさわぎじゃないのよ!」

 

「そりゃわかるよ!そうだろう。痛いだろう!でも今となって失うものあるのか?」

 

貞操を失う」

 

ボーイフレンドは黙りました。

 

今思えば、そりゃー話が違わないか?と思ったでしょう(笑)

 

すごすごと帰っていきました。

 

車に乗り込む後ろ姿に

「お見舞いには来なくていいよ。今日はありがとう」

 

ボーイフレンドは、振り返って、

「このままどこか薄暗いところに連れて行きたいよ」

と小さな声で言いました。

 

「あはは!ニューバージョンゆりりんこで逢いましょう。がんばるよ」

 

ボーイフレンドは、車に乗り帰宅しました。

 

まったく、私という人間は、、、。

約束を破るにも程がありますよね。

 

かわいそうなボーイフレンドとは、今もごくたまにあっています。相変わらず中学生のようなデートをしておりますので、ご安心ください。

 

ボーイフレンドよ、貧乳になった私にも、優しくしてくれてありがとう。