心の病気の人が、普通の病院にかかるときに体験すること。
私の心の病気の正式名称は「非定型精神病」です。
悪化すると、妄想を抱き、精神科病棟への入院を余儀なくされます。
しかし、私は、この13年間入院するほど悪化することなく、どうにか普通に暮らしています。
普通といっても、鬱になったり、躁気味になったり。軽く妄想的になったりはします。
お注射のお世話になったり、静養を必要とするときもあります。
常に自分の心の声に耳を傾け、自ら、今の自分に最善の方法を模索しつつ生活をしています。
しかしですよ!そんなに突然暴れだしたりすることはないですし、人が説明してくださることは、普通に理解できます。
こんな私が、普通に病院を初診するときのお話をします。
今日のところは、ある歯医者さんを受診した時のお話をしましょう。
私は、ある、優しくて、腕の立つ、比較的良心価格の歯医者さんにずっとお世話になっていました。ところが、その歯医者さんは、残念ながらすごく遠いのです。
車を持たない私ですので、バスを乗り継ぎます。
片道、1時間半かかるのです。
少し頭を悩ませていました。
そんな折、うちの近くに新しい歯医者さんが建ちました。徒歩5分です。
ついふらふらと、予約しました。
さて初診日です。
受付で、ボードに乗った問診票を手渡され、記入しました。
私は、どこの病院でも、心の病気のことは、正直に書きます。
お薬手帳も提出します。
「おかけになっておまちください」
待ち時間の異常に長い、歯医者さんだと思いました。
歯の掃除をするだけなのに、どんだけまたせんねん?と思いながらじっと待ちました。
やっと順番が来ました。
そしたらなんと、特別診察室みたいなところに通されました。
「この椅子におかけになってお待ちください」
診察椅子を勧められました。
素直に座りました。
それから30分放置です。
完全個室です。
テレビも雑誌もありません。
普通の、歯医者さんの、診察椅子に座って、
ただひたすら待つのです。
「ああ~~。私の病名に恐れをなしておるのだな~~。私は暴れませんよ~~。叫びもしませんよ~~。しかし何の説明もなくこの状況。普通の患者さんなら怒り出すこと確実だよね~~。歯の掃除をしてくださって言ってるだけじゃん~~。これ私、ちょっとかわいそうなことになってない?そろそろ、あと何分ぐらいお待ちくださいって、説明あってもいいんじゃない?」
私の心の病気は、今安定しているのに、まるで、暴れだす人間にする処置をされて、やっと30分後。
衛生士さんが入ってみえました。
「普通の診察台で診察します、こちらにおいでください」
普通に、歯の掃除をしてもらって、帰宅いたしました。
異常に、診察料金が高かったことが、記憶に残っています。
私もある程度、心が傷つきました。
実はですね、私は、心の病気の病名を書いた問診票を出した後に、必ず、お願いすることがあります。
「こんなお薬を飲んではいますが、今病状は安定していますので、ご説明していただければ、理解できます。何でもご説明してください」
これって、突然暴れだす人間が言うことじゃないよね。
ああそれなのに。
かわいそうやわ!この処置!
私は、自分で自分に同情してしまいました。
「ゆりりんこちゃん。こんな目に会ってまで、この歯医者さんに来る必要ありません!あなたがかわいそうです。今日のことは忘れなさい。来なかったことにしなさい。二度とこの歯医者さんには来ないように」
心の声が聞こえました。病気でではなく。つらい思いをした人が普通にするように、自分を励ましたのです。
この歯医者さんには、その後一度も足を踏み入れていません。
私にすれば当然です。
面白い話なんですが、実は、この歯医者さんには、私の療友もかよっているのです(笑)
多分、問診票に何も書かなかったと見えて(笑)
あの歯医者さんには、何年も引っ張られて困ってる。とのことです(笑)
私の人生、いつも、ついてないようで、ついているのです。
あんな、治療費の高い歯医者さんに、何年も引っ張らられなくてよかったです。
心の病気の人間が、普通の病気で病院にかかるときには、いろいろ理不尽な目に会うので、また機会のある時に、その体験をお話したいと思っています。では。